デジタル遺言の作成手順と電子署名の必要性
パソコンやスマートフォンで遺言を作成できるデジタル遺言への関心が高まっています。
2026年6月17日には、新しい遺言方式である保管証書遺言の創設を盛り込んだ改正民法が成立しました。
本記事では、デジタル遺言の作成手順と、電子署名が果たす役割について紹介します。
デジタル遺言をめぐる法改正の現状
現行の民法968条は、自筆証書遺言について全文と日付、氏名の自書に加えて押印を要件と定めています。
このため、パソコンで入力したデータに電子署名を付しても、現時点では遺言としての効力は認められません。
一方、2026年6月17日に成立した改正民法では、デジタル技術を活用した新しい方式として保管証書遺言が創設されました。
施行日は公布(同月24日)から3年以内の政令で定める日とされており、実際に利用できるのはもう少し先になる見込みです。
保管証書遺言の作成手順
新しい制度では、次の流れで遺言が成立するとされています。
- パソコンやスマートフォンで遺言の全文を記載した証書を作成する
- 証書に署名や電子署名といった氏名を明らかにする措置を講じる
- 法務局の遺言書保管官の面前で遺言の全文を口述する
- 保管の申請を行い、法務局に証書が保管される
全文の自書が求められる現行の自筆証書遺言と異なり、本文をデジタルデバイスで入力できるため、手書きの負担が大きい方でも作成しやすくなります。
また、法務局が証書を保管することが前提となることから、紛失や改ざんのリスクを抑えられる点も特徴といえるでしょう。
電子署名だけでは遺言は有効にならない
デジタル遺言という言葉から、電子署名さえ付ければ遺言として成立すると考える方もいるかもしれません。
しかし、電子署名はあくまで証書を作成したのが遺言者本人であることを示すための措置のひとつにすぎません。
保管証書遺言では、電子署名に加えて遺言書保管官の面前で全文を口述する手続きを経ることにより、本人の意思にもとづく遺言であることが確認されます。
逆にいえば、電子署名を付したデータを自分で保存しておくだけでは、施行後であっても遺言としての効力は生じないのです。
なお、遺言書保管官が相当と認めた場合には、ウェブ会議で口述の手続きを行うこともできます。
まとめ
デジタル遺言は、2026年6月17日成立の改正民法で保管証書遺言として制度化されましたが、施行までは利用できません。
それまでの間に遺言を残したい場合は、現行の自筆証書遺言や公正証書遺言を利用する必要があります。
遺言の作成を検討している方は、遺言作成サポートの実績が豊富な司法書士法人わたこり綜合事務所までお気軽にご相談ください。
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